コンクール審査員


3月30日にバレエコンクールの審査員をやってきました。

私が審査したのは、中学生と高校生以上の皆さんでした。
このコンクールの審査員を務めて5年くらいになるのですが、毎年レベルが上がっているように思います。
若い人たちが一生懸命頑張っている姿を見る事はとても気持ちの良いものです。

しかし、少し懸念している事があります。
皆さんとても良く飛んで、回ってイキイキと動くのですが、クラシックバレエを踊る事と音楽に合わせて身体を動かす事は根本的に違います。
今求められている事は、ただ高くジャンプする、たくさん回転する事ではなくて、その質が大切だと思います。
正しいポジション、正しいフォーム、正しい着地、バレエは運動能力よりも正しく美しく踊る事が大切です。
もう一つ、演目の内容に合った表現の仕方が大切だと思います。同じピルエットでもオディールとオデットのピルエットは違うはずです。その辺りの解釈が難しいと思いました。
また、年齢に相応した演目を選ぶ事も大切だと感じました。
やり過ぎてもいけないし、足らなくては観客に伝わらない。身体能力と共に表現者としての感性が今のコンクールでは問われているんではないでしょうか。

審査員をやっていつも思う事なのですが、バレエはやはり奥が深いですね。
今日は7時間の審査でしたが、明日も5時間頑張って来ます。


先日2月28日と3月1日に文京シビックホールにてスターダンサーズ・バレエ団の「ジゼル」の公演がありました。


本番直前の緊張のひと時に、皆様有難うございます。

ジゼル役 西原友衣菜さん
アルブレヒト役 浅田良和さん
ヒラリオン役 大野大輔さん
皆さん、本番前の緊張のひと時に有難うございました。



前日の主役のお二人。

ジゼル 林ゆりえさん
アルブレヒト 吉瀬智弘さん
3月1日公演、2幕前客席にて。

 今回上演されたピーター・ライト版のジゼルは英国バーミンガム・ロイヤルバレエ団の作品で、古典のバレエ作品を現代にも通じる説得力のある人間ドラマが展開される革新的な作品として、各国のバレエ団で上演されています。

ジゼル役の西原さんは主役デビューでした。
新人らしく溌剌とした動きにとても好感が持てました。まず西原さんは音楽に対する動きの乗せ方が上手ですね。ただ単にリズム感が良いだけではなく、テンポが取れた上で、シチュエーションに合わせた音のずらし方を知っているように思えました。本人は意識しないで、感覚的にやっているのかも。
まあ、大手のバレエ団で主役を踊るようなダンサーにこの要素がなければプリマは務まりません。

もっと驚いたのはお芝居です。
新人が、それも限りなく10代に近い20代前半の彼女がどこまでお芝居出来るのか、少々不安でした。若い新人に主役デビューさせるには、ジゼルはかなりハードルが高い作品です。
1幕後半での芝居に失敗するとすべてが台無しになってしまします。
西原さん、見事でした。持って生まれた才能も確かにあるのでしょうが、スターダンサーズ・バレエ団はこの作品を永いキャリアでレパートリーとして上演していますから、その間の主役たちの演技を勉強していたんでしょうね。やはり歴史は重要です。

アルブレヒトの浅田さんやヒラリオンの大野さんはさすがの実力者、安心して楽しめました。

最後に感じた事。
やはり生の舞台は贅沢ですね。生でしか感じる事の出来ない感動があります。
2幕も素晴らしかったです。って言うか1幕は自身が出演しているので観ることはできないのですが。

4月29日にもテアトロ・ジーリオ・ショウワでジゼルの公演があります。
この公演は林ゆりえさん、吉瀬智弘さんで上演されます。
二人ともスターダンサーズ・バレエ団の押しも押されもせぬスターです。
きっと良い舞台になると思います。
お知らせに詳しい情報を載せますので、お時間のある方は是非どうぞ。