日本バレエ協会公演「海賊」に出演

久しぶりの投稿になります。
国の緊急事態宣言は解除されましたが、新型コロナの感染は終わったわけでは無いので皆さん十分な注意をしての生活をお願いしたいと思います。

近々の騒動で投稿が遅れてしましましたが、2月8日、9日に行われた日本バレエ協会都民芸術フェスティバル「海賊」が上演されました。
私はセイド・パシャの役で、高谷遼はランゲデムの役で出演いたしました。
私の出演は9日のマチネ公演で、遼は9日のソワレ公演でした。


振付・演出はヴィクトール・ヤレメンコ氏です。
ウクライナ国立アカデミー・オペラ・バレエ劇場の振付師です。皆さんには元キエフバレエ団といった方がイメージし易いかと思います。
海賊は男性ダンサーの出演者が多数必要なため、日本のバレエ団ではあまり上演されません。また定番のような演出もなく、海外のバレエ団でも様々な解釈、演出で上演されています。
ヤレメンコ氏の演出は、花園のシーンなどプティパの傑作場面は残しつつ、大胆に現代的にアレンジするなど、アカデミックでありながら、エンターテイメント性を失わないドラマティックな構成になっていました。


私が出演した公演のメドーラはヒューストンバレエ団プリンシパルの鍛冶屋百合子さんでした。
アメリカン・バレエ・シアターのソリストだった当時は全米でも話題になったダンサーです。
初共演した感想としては、まずテクニックが基本に忠実、優雅、役に対する解釈力、表現力が卓越している、最後に可愛らしい。バレエダンサーとして大切なのは基本テクニックがしっかりしている事と、プロバレエダンサーとして大切なのは役の解釈力と表現力なんだと改めて感じました。私は還暦を少し過ぎておりますが、鍛冶屋さんから多くの事を学びました。


私はバレエ協会主催の公演で全国合同バレエなど、振付はした事はあるのですが、出演は初めてでした。
長いお付き合いのある先生方、先輩方にお会い出来たり、久しぶりに再会する後輩たちが挨拶に来てくれるなどとても嬉しい事がたくさんありました。
バレエ協会の執行部の皆様方、本当に有り難うございました。
また、スタジオの生徒さん方もたくさんの方に観に来て頂きまして有り難うございました。


スターダンサーズ・バレエ団公演

ソネット代表の高谷大一です。久しぶりに投稿します。

 3月30日池袋の東京芸術劇場にてスターダンサーズ・バレエ団の公演を観てきました。
演目はジュージ・バランシンの「ウエスタン・シンフォニー」とクルト・ヨースの「緑のテーブル」です。
「緑のテーブル」は40年前、私がスターダンサーズ・バレエ団にてプロダンサーとして初めて出演した作品なので、特に感慨深い作品です。心を弾ませて劇場に向かいました。

 東京芸術劇場プレイハウスはシックで落ち着いた雰囲気で、作品に集中して鑑賞出来る環境になっていました。

▪️1部「ウエスタン・シンフォニー」


 ハーシー・ケイの軽快な音楽にのせた明るく楽しい作品でした。
バランシンは特に群舞の構成が巧みな振付家として有名です。「セレナード」「コンチェルト・バロッコ」などが私の印象に残っています。
「ウエスタン・シンフォニー」はストーリーは特になく、4楽章に分かれた各パートにソリスト男女各1名と群舞数名で構成されています。
どの楽章もアイデアに溢れ、それぞれに見せ場がありました。ダンサーも明るく楽しそうに、またしっかりした技術で振付をこなしていて、良質なエンターテイメント作品に仕上がっていました。アメリカで上演する時はおそらく会場は大歓声で、大いに盛り上がった事だと思います。
 ソネット講師の高谷遼は4楽章のソリストとして出演しました。お芝居っ気たっぷりに踊り、作品の成功に貢献していました。
 バランシンはロシア出身の振付家ですが、おそらくこんな自由で明るく楽しい作品を創作したくてアメリカに来たんだろうな、と想像される作品でした。余談ですがミュージカル映画の名作「ウエスト・サイド・ストーリー」振付・脚本のジェローム・ロビンスは ABTに移籍する前はNYCBにいるバランシンの元で助手として勉強したそうです。バランシンがアメリカに来なければ、「ウエスト・サイド・ストーリー」は生まれなかったかもしれません。

▪️2部「緑のテーブル」


「ウエスタン・シンフォニー」と違ってとてもテーマ性の高い作品です。反戦がテーマです。
死神を中心にした様々な死をオムニバスで描いています。舞踊的にいうとロンド形式という手法を取っています。ロンド形式というのは、A:B A:C A:D A:E A:F・・・・とAを中心にB以降別シーンが展開して行きます。
 「緑のテーブル」の場合死神がAになります。以降様々なシーンのラストに死神が現れ各登場人物を死に導いて行きます。
戦争に参加した兵士であったり、婚約者を戦争に送り出した若い娘であったり、娘の旦那さんを戦争に送り出した老婆であったり、レジスタンスの娘であったり、また戦争で利益を得る商人であったり、全ての人が死神に導かれてしまいます。この事によって戦争の悲惨さ、バカバカしさを痛烈に表現しています。
 各シーンのラストに登場する死神が、時には観客の心の隙間を突くような、また時には感情を揺さぶるような、時には不思議な事ですが死に必然性を感じるような様々な手法で演出されています。
 特に印象に残るのがプロローグとエピローグの会議のシーンです。仮面を付けた10人の紳士ですが、それは政治家であったり、学者であったり、富豪であったりします。その会議の様子が軽妙なタンゴで滑稽に描かれています。この会議に参加する人たちの発言に意味は無いし、意味のある事は発言はしません。この滑稽な会議のシーンと死神にまつわるシーンの対比が圧倒的に反戦のメッセージを観客に送ります。やはり舞踊界の歴史に残る名作である事は間違いありません。
 高谷遼講師は戦争利得者にキャスティングされていました。技術的にも内容的に難しい役でしたが、役柄がよく伝わる好演でした。

余談パート2、前回のソネットの発表会にゲスト出演してくださった加地暢文さんが、私が40年前に踊ったポジションを踊っていました。ちょっと運命を感じました。


 今回の公演は3月31日で終わりますが、再演される機会があれば是非ご鑑賞をお勧めします。私ももう一度観たい作品です。

 最後の感想として、私はこのバレエ団で修行し在籍できた事を嬉しく思いました。


子供オペラ

昨日(10月15日)岡山市民文化ホールで、岡山市国際音楽祭子供オペラ「魔法使いの弟子」
が上演されました。


私は岡山市が主催する「ダンス・インキュベーション・フィールド・Okayama」という名前のダンスグループの芸術監督にグループ立ち上げ当時から就任しています。
そのメンバー達もこのオペラのバレエシーンに参加しました。
プロのソプラノ歌手、俳優2名、最大30名に及ぶオーケストラ、合唱40名、ダンサー9名という大編成でした。私はこの公演で振付と演出で参加しました。
演奏は全て生演奏で、大変な事も多いのですが、やはり私は振付や演出の仕事が好きなんだ!と感じた仕事でした。



コンクール審査員 パート2

今日二日目の審査員をやって来ました。

小学校の3年生から6年生のダンサーたちの審査です。
皆さんとても真剣に取り組んでいて、一生懸命な様子に若いエネルギーを感じました。

しかし、最近の子供たちはスタイルが良くなりましたね。
驚くほど手足が長く、顔も小さく、昭和30年代初頭に生まれた私の世代には考えられないプロポーションの子供たちが沢山いました。
 しかし、まだ小学生、自分の手足を自分で使いこなせていない印象を受けました。手足に軸が振り回されてコントロール出来ていないんですね。
やはり、お腹、背中の体幹のトレーニングは必要だと痛感します。
そこで指導者の問題があると思います。こういった時期にはあまり高度なテクニックは要求せず、基礎をキチンと習得させた方が将来的にその生徒さんの上達につながるのではないかと思いました。

 もう一つ、今日も小学校6年生で、すでにヴァリエーションだけは完成しいる、小さな大人のような踊りを披露した人が何人かいました。表情もテクニックもとても上手なのですが、私にはやや指導者が作り込み過ぎているように感じました。おそらくとても細かいご指導なさっているのだとおもいます。
それはそれで、コンクール的には高い得点を獲得できるので悪い事ではないと思いますが、あまり指導者が作り込み過ぎないで、ダンサー本人が役柄を理解した上で自然に出る表情が大切だと思います。
バレエの基礎トレーニングとは技術的な事だけでなく、表現者としての心のトレーニングも必要だと思います。

 長時間の審査は公平を期するため、ずっと気を張っていなければならないので大変ではあるのですが、参加者の皆さんからバレエが大好きという事がとても伝わって来て、バレエ業界に携わる人間としてはとても幸せな時間でした。


コンクール審査員


3月30日にバレエコンクールの審査員をやってきました。

私が審査したのは、中学生と高校生以上の皆さんでした。
このコンクールの審査員を務めて5年くらいになるのですが、毎年レベルが上がっているように思います。
若い人たちが一生懸命頑張っている姿を見る事はとても気持ちの良いものです。

しかし、少し懸念している事があります。
皆さんとても良く飛んで、回ってイキイキと動くのですが、クラシックバレエを踊る事と音楽に合わせて身体を動かす事は根本的に違います。
今求められている事は、ただ高くジャンプする、たくさん回転する事ではなくて、その質が大切だと思います。
正しいポジション、正しいフォーム、正しい着地、バレエは運動能力よりも正しく美しく踊る事が大切です。
もう一つ、演目の内容に合った表現の仕方が大切だと思います。同じピルエットでもオディールとオデットのピルエットは違うはずです。その辺りの解釈が難しいと思いました。
また、年齢に相応した演目を選ぶ事も大切だと感じました。
やり過ぎてもいけないし、足らなくては観客に伝わらない。身体能力と共に表現者としての感性が今のコンクールでは問われているんではないでしょうか。

審査員をやっていつも思う事なのですが、バレエはやはり奥が深いですね。
今日は7時間の審査でしたが、明日も5時間頑張って来ます。